呪 い サ イ ト

 廊下ではなんだから、と調理室に生徒達を置き去りにしたあの家庭科の教師の言うことで、ウチ達は今… 調理室の隣の被服室へと避難をしている。


「ケーキはまだ仕上がっていない班が多いですが……全部の班がクリームを塗り終わっているので、ケーキを食べることにしましょう!」


 あんな悲惨な事件があり、誰もが暗い表情をする中……教師は明るく振舞おうとしていた。
 そんな生徒達のためなのか……自分のショックを隠すためのか……。だが、教師の表情は高い声にあわない程、曇っていた……。
 見ていて痛々しい。


「私がケーキを持ってくるので、待っていてくださいね~……!」


 教師はまだ、事件の後が残っている調理室に入って行った。
 警察官が中で色々と調べたり、後の処理をしているらしい……。


「・・・近藤、大丈夫か……?」


 高井が寄り添ってきた。
 何故だかよく理解できなくて、ウチは不思議そうに高井の顔を覗き込む……。
< 60 / 210 >

この作品をシェア

pagetop