呪 い サ イ ト

「一斑の人~!」


 いつのまにか教師がケーキとフォーク、切り分けるためのナイフを持って、調理室から戻って来ていた。
 

「あっ……はいは~い!」


 一斑だったウチは、慌ててケーキを受け取りに行く……。

 料理上手なあの心愛ちゃんが、ケーキを均等にナイフで切り分ける。

 ―――ナイフを見て、あの光景が脳裏に浮かび上がってきた。先程の悪夢のような光景だ。
 ナイフでグサグサグサッ!!
 何箇所も刺し、真っ赤な鮮血が溢れ出して来て……ウチの元へと……!!


「う……っ!!」


 胃液がこみ上げてきて、口の中が少し酸っぱくなる。

 だが、美味しそうなケーキを見て、少しずつ吐き気もひいていった……。


「はい、どうぞ!」


 心愛ちゃんは笑顔で、ケーキをウチの皿に乗せてくれた。
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