呪 い サ イ ト
 教室に一人取り残されたウチは辺りを見回し、また無意識の癖で高井を探していた。


―――いない!


 いつも教室で机を輪にし、大勢の男子と昼食を共にしている、人気者の高井がどこにもいないのだ。

 もう一度、一人ずつ顔を確認するけれど、どの顔も高井の整った顔ではない。


 どうして……!? どうしていないの……!?


 そしてもう一つ、気づいたことがあった。昼食中も高井に話しかけている、谷村もいないのだ。
 高井に話しかけるためだけに谷村は教室にいるとしたら、高井のいないこの教室に谷村がいないのは不自然ではないけれど……いつもチャイムが鳴ると同時に、谷村は高井の元へ駆け寄っている。
 もし高井がどこかへ行こうとしたのなら、「どこ行くのぉ~?」等と谷村が聞くはずだ。でも、そんな声は全く聞こえなかった。谷村はわざと声を高くしているため、発言をしたのならすぐに気付く。


「・・・何か……おかしい……」


 なんだか嫌な予感がした。
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