呪 い サ イ ト

 ウチも高井の手を握り返した。

 高井が歩き始め、ウチも歩き始める。高井はウチの歩く速さにあわせてくれた。

 彼氏と下校する時の理想も、こんな感じだ。まさに理想通り……!


「・・・ねぇ、今日の授業って何した?」


 ウチは今日、午前の授業を受けていない。
 真里と梓の葬式へ、友人として出席していたからだ。
 遺体に向かって皮肉めいたことを、他の人には聞こえないよう小さく言い捨てておいた。そして演技で泣いた、悲しんだ。
 そんなことをするだけで、午前の授業をサボることができるなんて、最高に等しかった。
 しかも、誰もがウチのことを哀れんだ。友達がいなくなったウチに声をかけてくれた。


「ちょっと復習しただけだ。ほとんどの授業は、学年集会になって潰れたからな……。俺も楽だったぜ」


 学年集会で、今回の事件のことを授業を潰してまで教師は話したらしい。原因は何だったのかはわからない、と言っていたそうだ。

 ウチはにやりと笑った。原因も、二人が死んだ理由も……ウチだけが知っていること。ウチだけが!

 そう思うと、なんだか嬉しかった。思わず高井に話したくなるが、なんとかそれを堪える……!
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