呪 い サ イ ト
 ウチは思わず席から立った。

 ここまで急いで戻って来たんだろう、真里は息切れをしていた。陸上部で毎日何キロも走っているはずなのに珍しい。慌てているようで、早口にもなっている。

 そこまで慌てふためくニュースって一体何だろう。


「ど、どうしたの?」


 ただごとではない雰囲気ということは、ウチでもわかる。真里を落ち着かせるように、宥めるように問いかけたつもりだった。でもそうできているかわからない。ウチも状況を飲み込めずに声が跳ね上がった。

 
 真里は購買で買ってきた焼きそばパンを片手に、づかづかとウチの所へ歩いてきた。
 ウチの机まで来ると―――

 バンッ!!

 と机を叩いた。衝撃で弁当が飛び跳ねた。驚きでウチの心臓も飛び跳ねた。

 真里は下を向いていた顔を上げ、ウチの目をまっすぐにみながら、


「高井と谷村が付き合った」


 そう小さく告げた。

 ウチは状況をいまいち理解できず、口をぽかーんと開けた間抜け面で、無言のまま真里をみつめることしかできなかった。

< 9 / 210 >

この作品をシェア

pagetop