呪 い サ イ ト

 ・・・確かに、優里の言うことは正しい。
 優里はずっと私と一緒にいた。だから何もできなかった。何もしていなかったことを私は知っている。
 だが……おこることを知っていた。
 ”タノシイコト”。三人が穴に吸い込まれるのが、”タノシイコト”ということだ。


「・・・それと。奇跡が起こるかも」


 それはとても曖昧な言い方で、もう意味がわからない……。


「三人を発見! ひきあげるぞー!」

「救命器具を用意しろー!」


 寧々、幸恵、莉音が穴の中からひきあげられた。
 三人とも顔が青く、唇は紫色をしている。酸欠状態であることがわかった。


「大変だ! 3人とも息をしていない!」

「心臓も止まっている!!」


 ―――え……っ!?

 係員の会話が聞こえてきて、私は呼吸をするのを忘れる程の衝撃を受けた。

 息をしていないって……!? 心臓も止まっているって……!? そんな……そんな……っ! そんなことって……っ! 三人は死んでしまうの!?

 泣きそうな顔した私がふと横を見ると、優里がにやりと笑っていた。

 三人は元々、死ぬ運命だったんだ……。涙が零れそうになる。

 だが、優里が言っていた「奇跡」とは?

 ・・・”かも”と言っていただけだから、どうせ起こらないのだろうか。奇跡なんか……。



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