ひっきーの恋

痛みが治まった後、
うちは何をするでもなく、
ただぼーっとしていた。

ただただ、
何の変化のない天井を。床を。
映像の映ってないテレビを。
壁を。観葉植物を。

ただみていた。

そして気がついたときには、
明るかった外は真っ暗になり、
壁の時計は午後8時を指していた。

夜ごはんを作って食べる気にもなれず、
また天井を見つめていた。

テーブルの上に置いておいた
携帯電話のメール受信音が鳴る。

「…………。」

うまく考えられない思考で
携帯電話を開く。

「ぁ、護。」

動かない思考が少しずつ動き始めた。

うちはメールを開いて、
ゆっくり内容を呼んだ。







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