ひっきーの恋
うちはただただ身体を強張らせていた。
膝の上の両手をおいて、
猫背気味だった背筋をぴん、とさせ、
窓の外を向いていた顔は、
前のほうの向きなおした。
それでやっと、
護の顔が見えた。
少し怒ったような顔をして、
じっとうちを見ている。
「…。」
冷や汗をだらだらとかきながら、
唇をギュッと引き結んで椅子に乗っている。
「もう一度、訊くけど、
何を見ているの?」
耳元で発される言葉。
悲鳴を上げたいくらいにテンパる。
ただし、脳内だけで。