ひっきーの恋
そんな奴らなど
これっぽっちも眼中に入ってない、
と言うように、
不意に樋佐木君は
うちらのところへ歩み寄り、
無数の腕でがんじがらめになっていた
うちを片手だけで引っ張り出した。
うちを逃がさないように
掴んでくる奴は誰もいなかった。
むしろ、するっ、と
呆気なく解けた。
うちを引っ張り出す時に掴んだ右手を
離すことなく、
そして、半ば強引に引っ張りながら、
うちと樋佐木君はその場を後にした。
あとに残るのは、
十数人の女子生徒の
間抜けな顔だけだった。