ひっきーの恋
「ねぇ、聞いてる?」
思い出したくも無い事を
思い出してた時、
そいつの声で我に返った。
「え、あ、うん。聞いてる。」
「で、何処の学校?」
「・・・・・・。」
その質問に無言になる。
「何か、言えない理由でもあるの?」
そいつが心配したように、
うちの顔を
覗き込みながら訊いてくる。
「・・・・・・。」
「・・・。嫌ならいいよ。
気が向いたら、話して?」
「・・・・っ。」
そいつの優しい声に、
泣きそうになった。
「じゃあ、ばいばい。また明日。」
そういって、そいつは帰っていった。
「・・・・・・・。」
うちはただ、
そいつの後姿を見ながら立ち尽くしてた。
「また、名前聞きそびれたなぁ。」
泣きそうな声で、ぽつんといった。