ひっきーの恋
校舎に取り付けられた大きな時計は、
HRの始まる、
8:15を指そうとしていた。
「ヤバイ!走って!」
使い古したスニーカーから
真新しい上靴に履き替えた時、
いきなり、右手を引っ張られた。
そのままうちは
護に手を引っ張られながら走った。
2年の教室は、最上階の4階。
体力が持つか心配だった。
でも、護は、
そんなのはお構いなしに
階段を駆け上がっていく。
そして、
ついには右手がどうこうなどと
言えなくなってきた。
HRを告げる鐘が鳴り始めたからだ。
「急ごう!」
そういうと、
護は、スピードを上げた。