ひっきーの恋
ほんの5分ほど、
先生の話が続くと、
HR終了の鐘らしきものが鳴り、
HRは終わった。
とたんに生徒たちは
自分の席からほかに人の席へ行き、
楽しそうに談笑を始める。
小学校の時みたいに、
朝の会なんてやんないのか。
なんて思いながら
小さなあくびをする。
タイミング良く
うちに話しかけてくる生徒は
もちろんいなくて、
うちは窓の外をぼーっと見ていた。
小説でも買ってこようかな。
って思いながら、
ほぼ真下にある中庭を見ていると、
何か黒い物体が
木の陰でもぞもぞと動いていた。
黒猫か何かかな?
って思いながら
そこを凝視していると、
「ねえ、佳奈佳」
って、護に話しかけられた。
周りには、護と、
今まで談笑していたであろう人が数人、
うちを物珍しそうに見ていた。
うちは珍獣かっ。
脳内でツッコんでみる。
ま、もちろん口には出しませんが。
「この子、だーれ?」