先生or生徒?!

片付けが終わった後の体育館は、数分前までの騒ぎが嘘みたいに静か。

あっという間だったな。


「差し入れ、持ってきたぞ」


圭が10人分のジュースを袋に入れて持って来た。

気が利くじゃん。


で、中身は……

「なにこれ! 全部お茶でしょ、これみんな!!」


まっ先にジュースをもらいに行った男子が驚嘆している。


……全部お茶って、まじ?!



「最悪ッ!」
「長崎先生、こんなとこまでクールじゃなくていいから!!」


どうやら、まじみたい。

何考えてんだか……。



みんなブーイングしつつも、圭を囲んで笑い合いながらお茶を飲んでいる。


子供っぽくても、不真面目でも、いい人達だ。



「ほら、小宮も」
「わっ!」


岡本くんからお茶のパスと、みんなからの笑顔。


「ありがとう」


そのお茶は冷たくて、苦そうで。

……けど、みんなの心が詰まっていて。



『学年委員長、やってよかった』

つくづくそう思うわたしだった。
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