先生or生徒?!
★憧れの一言
「あぁ、疲れたぁ!!」
ベンチに座り込み、叫ぶわたし。
しかし、圭はそんな様子も見せず、ベンチの脇に立ち尽くしている。
遊園地に来てから、圭といろんなモノに乗った。
ゆったりした子供向けのモノから、絶叫系のアトラクションまで。
お化け屋敷だって入ったし、昼食はレストランで食べた。
全部が圭とわたしの二人の思い出。
……二人っきりの。
わたしたちはユリちゃんたちを忘れていたし。
……ううん。
思い出しても、どっちも言わなかった。
圭もわたしも、二人きりを望んでいたから。
二人でいたかったから。
「夕日、綺麗だね」
「…だな」
二人を包むのは、オレンジの光の塊。
目の前に広がるのは、夕日色に染まる観覧車。
二人の時間はあっという間で、もう日が暮れる頃になっていた。
人も朝と比べたら、格段に減っている。
そろそろ帰らないとまずいかも。
ユリちゃんたちも心配だし。
「ねぇ、そろっと帰らないとじゃない?」
わたしは夕日に染まる圭に言う。
「最後に、あの観覧車に乗らないか?」
圭は疲れ果てたわたしに言う。
真っ直ぐな瞳を、オレンジに輝かせて。