山田丸★ころがり系
「家に転がり込んでですね、作家をめざしているとか、コピーライターをめざしているとか、うまいこと言って金を貢がせます。しばらくしたら、より収入の高い風俗店で働くように仕向けますね」


「そりゃ、そうなったら理想かもしれないけど、現実的ではない」


「そうですかね」


「女のところに転がり込むって言ったって、転がり込むまでが大変だろう」


「確かにそれはあるかもしれませんね」


「どうしたら惚れてもらえるのか考えたほうが良いんじゃないのかな。リスみたいな顔してないで」


「BMWに乗ったり、フランクミュラーの腕時計したり、麻布のマンションに住んだりしたら、多分簡単にモテるんですけどね。そういうの無しで女を引き付けるのは難しいですね」


「それを考えるんだ」


「そんなことより、山田丸先輩は将来何になりたいんですか?」


「え。僕?」


「そうです」


「普通のサラリーマンで良いよ。平凡だけで幸せな家庭築いてさ」


「それってきつくないですか」


「そうなんだよなぁ」


「まずこのままだと最終学歴が高校中退になりかねないじゃないですか。となると就職活動に不利」


「確かに」


「本人がしっかりしていたら、いくらでも仕事はあると思いますが、山田丸先輩ってしっかりしてないじゃないですか」

「しっかりしてないことはないさ」


「小学校ではいじめられっ子、中学校では不良のパシリ。高校では不登校。バイトも二日でやめたんですってね」


「まあなぁ」


「オンラインゲームにはまって廃人と呼ばれたこともありましたね」


「そのことはもう忘れたいなぁ……」


「まあ、なかなかそんな状態で雇ってくれる会社は少ないと思いますよ」


「く……」

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