山田丸★ころがり系
エレベーターに乗り込み地上に降りる。

エレベーターにもシャープペンシルは落ちていない。


重心を低くして注意深く道路を歩く。

通行人が変な目で僕を見ているのがわかったが、気にしていられない。

残念ながら道路にもシャープペンシルは落ちていない。

尻を突き出して中腰のまま、コンビニまで歩いた。


コンビニには、シバケンがいた。

「山田丸先輩、どうしたんですか」

立ち読みしていた少年誌から顔を上げて、シバケンは言った。


僕は、シバケンに、めるのシャープペンシルのことを話した。


「先輩も健気ですね。くくく」

シバケンはそう言って、歯科矯正の器具を唇から覗かせて笑った。

「じゃ、探してくるから」

僕はシバケンに宣言をすると、中腰で店内をくまなく探した。


やはりここにも無いみたいだ。


コンビニを出て駅まで歩く。

もちろん地面に落ちたシャープペンシルを見つけやすいように、中腰の姿勢のままだ。


途中で、後ろから誰かにつけられているのに気付いた。
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