山田丸★ころがり系
シバケンだ。


僕は気にせず駅構内に入った。


トイレもホームも自動販売機の下も、くまなく探してみたが、やはりシャープペンシルは見つからなかった。

なぜか、そんな僕の様子をシバケンはデジカメで撮影していた。


電車に乗り、めるの最寄り駅に移動する間も、シバケンはにやにやしながら僕を撮り続けた。


駅に着いて改札を出たところで、めるの姿を発見した。

僕はどきどきしながらめるの後をつけた。

ちょっとストーカーみたいな気分だ。


めるは本屋に入って十分程立ち読みをすると、何も買わずに店を出た。

僕はめるの読んでいた本を購入して、後を追った。

『毎日の食生活で豊かなバストを育てる本』という美容に関する書籍だった。

めるはなかなか研究熱心だ。

「先輩って本当にきもいですよね」

後ろからシバケンが言う。


「キモくなんてない」

僕がそう言うと、シバケンは気味の悪い笑顔を浮かべた。
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