神々と世界の狭間で
下ごしらえはこんなもんでいいだろう。

まな板と包丁をサッと洗う。

米は毎朝、レラが一日分まとめて炊いている。

だから俺は自分で炊く必要はない。

と、いうことで。

再び冷蔵庫を開け、麦茶を取り出し、コップに注ぐ。

「綾～。アタシにもちょうだい。」

背後からレラの声が響く。

パタパタと微かな音がする。先生があらかじめ取り込んでいた洗濯物を畳んでいるのだろう。

俺とレラ二人分の麦茶を持ってテーブルに近づく。

「ん？綾何か言った？」

レラが洗濯物を畳む手を止めて顔をあげる。

スッと上げた顔はキョトンとしていて何かに不意をつかれた様な感じだ。

「いや、なんも…？」

自分の麦茶をテーブルに置きながらレラに麦茶を差し出す。

「そう。誰かに呼ばれた気がしたんだけどね。」

レラはそう言い、麦茶を受け取ると、フゥとため息をついた。
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