神々と世界の狭間で
学校から一人で帰って玄関を開けると、電話がなっていた。

滅多にならない家の電話である。

掛かってくるのは父さんの仕事の電話だけ。

しかも携帯が繋がらないときだけだ。

私がリビングに入った時、電話は留守電に切り替わった。

「もしもし」

聞こえてきたのは聞いたことのある男の人の声だった。

急いでいるような声。

私はリビングの奥に置いてある電話へと歩を進めた。
…杉本さんの声かな?

「本間。杉本だ。」

「この前の子が施設外に出て行ってしまった。留衣が…。」

…留衣…この前会った双子のクローンの娘だ…。

ドクンと心臓が小さく波打つ。

「無いとは思うが見かけたら連絡してくれ。」

そう言って電話は切れた。
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