神々と世界の狭間で
エピローグ 世界と神々の狭間で
その部屋は和かな日差しが差し込み、穏やかな表情をかもしだしている。

綺麗に整えられた勉強机、テーブルの上に置かれたコーヒーカップ、ベッド側に畳んで置かれているパジャマ。

部屋はあの日のまま何も変わらない。

ただ、レラがいなくなったことを除けば。

静かにドアを開け、部屋に足を踏み入れる。

「レラ」

開けられたままのドアからは階下での読経の声が響いている。

俺の頬には涙のあとがうっすらと残っている。

窓から漏れる和かな光が俺を照らしている。温かい光だ。

「綾君。」

俺の後方のドアから声がかけられた。

背中の中程まである長く伸びた真っ直ぐの白髪を後ろでたばねて、喪服を着こなし、いつもとは違う雰囲気だ。

「そろそろ時間だ。」

俺は静かに頷いた。
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