神々と世界の狭間で
「いや、今日、屋上で…。」

「いきなり帰ってっただろ。それに電話も…。」

…………………。

沈黙が流れる。俺としては意味が分からない空気の重苦しさだ。

「隣に…娘は…よ。」

ボソッとレラは呟いた。

「は?何?」

レラはスゥっと息を吸い込む。

「隣にいた娘は誰よ。」

…は?

「隣にいた娘って?いつ?」

「放課後。私が行った時。」

「どこで?」

「屋上。」

…はぁ?

「いや。一人だぞ。俺。」

というか屋上に人なんかほとんど来やしない。

「じゃぁ、私が見たのは誰よ。」

「…こっちが聞きたいよ。」

「しらきる気?」

「いやいや、本気で知らないって。」

そこで一息吐く。

…どういう事だよ。

あの時、確かに屋上には誰もいなかった。

「確かに見たんだからね。」

いつの間にかレラは俺をキッと睨み付けている。
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