神々と世界の狭間で
微かに声が聞こえる。

「綾、綾。」

体が軽く揺さぶられている。

…ん。

ゆっくりと顔をあげる。

「おはよ。」

少しボヤけた視界の中には白い世界とレラがいた。

そうだ。昨日、レラに付き添ったまま寝ちまったんだ。

「レラ、起きたか。」

レラは身体を起こし、ベットの淵、俺の顔の真横に腰かけていた。

「寝てたみたいだね。」

「ん、ああ。疲労だってよ。」

俺は、ん~と伸びをしながら答える。

「あんま、無理すんなよ。」

うん、とレラは小さく頷く。

「そんな無理なんかしてないんだけどね。」

そう言い、レラは力無く笑った。


「お医者さんはもう退院していいって。」

…まぁ、寝てただけだしな。

よく見ると、レラの右腕にあった点滴の針はもう外され、四角い絆創膏が貼ってある。
< 27 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop