神々と世界の狭間で
インターフォンが切れてから数秒。

カツカツという早足の足音が響いてくる。

…お。

玄関から正面、奥の方から白衣を揺らし、男が歩いてくる。

…え?

最初は余りの雰囲気の違いに気が付かなかった。

白衣に身を包み、革靴を履いて緩さを微塵も感じさせない伸びた背筋。

そんなものいつもは見られない。

だけど、あれは間違いない。

先生だ。

先生は早足でこっちに近づいてくる。

先生がドア近くまで来た時、自動ドアはウィーという小さな音と共に開いた。

「やっぱり綾君か。」

そう言って先生は俺を中へと通した。

「先生、ここ」

途中まで言いかけた俺の質問を先生は手で制止した。

「いろいろと聞きたいことはあるだろう。ここではなんだから私の部屋に行こうか。」

先生の口から出たのはさっきのシブイ声だ。
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