神々と世界の狭間で
「あ、所長。携帯どこかに落とされました?さっき電話したら若い男の人が出たので、できれば届けて欲しいと言っておきましたけど。」

「所長、忙しくて研究所から出れることなんか滅多にないですし。」

「それでは」と言いレイラは退室した。

…携帯?

…携帯は鞄に入れてきたはずだが…。

古めかしい鞄を開け、中を探る。

が、携帯は見当たらない。
置き忘れてくるとしたら家しか考えられない。

そこで電話に出た若い男……綾君か。

あの子ならここに来るだろう。

どう説明しようか。

ビー。

夜間の来客を報せるベルが鳴る。

綾君とレイラを今、会わせるのは好ましくない。

スッと椅子から立ち上がり、早足で応対に向かった。
< 52 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop