神々と世界の狭間で
「少し、昔話をしようか。」

そう言って目を細める。



そう、今から16年前、レイラが生まれる前のことだ。

コンコン。

深夜に所長室のドアが静かに叩かれる。

「所長、ご在室ですか?光本です。」

若い女性の静かな声が響く。

この研究所には若い女性は少ない。

この声は光本 愛羅、愛君だろう。

「どうぞ。」

数秒後、ドアがゆっくりと開かれた。

「所長、お話があるのですが…。」

愛君にしては珍しい、歯切れの悪い物言いだ。

それに顔もうつ向き、表情も暗い。

何かミスでもしたのだろうか。優秀な娘だと感じていたが、どうしたのだろう。

「まぁ、掛けなさい。」

そう言って愛君に椅子を進めると愛君は促されるままに座った。

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