神々と世界の狭間で
「正直なところを言おう。分からない。」

この子が生命体、生物的には人間である。その事は愛君もわかっているはずた。

「この子が人間かどうか。愛君が訊きたいのは、この子が社会で人間として認められるかどうか。」

私はモニターを見つめながら言った。

「そういうことだろう?」
愛君は「はい」と小さく頷いた。

その声は仄かに震え、弱々しく聞こえる。

「愛君はどう思う?この子は人間かどうか。」

………。

静かな沈黙が流れる。

恐らく愛君は考えているのではない。答えるのが恐いのだろう。

自分の答えがあの子にとって悲惨な答えだったのだろう。

「この子は…人間ではありません。……この子は社会で人間として…認められません。」

愛君は声を震わせながらゆっくりと言った。
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