神々と世界の狭間で
「失礼します。」

声と同時にドアが開かれる。

部屋に入ってくる人、見た目は、レラだ、だけど微かに雰囲気が違う気がした。

「あ、ご来客中でしたか。すみません、出直します。」

「いや、ちょっと待って。」

先生は一礼して部屋を出ようとしたレラを呼び止めた。

「甥が遊びに来ていたんだ。良ければ君の研究室を見せてやってくれないかな?」

先生は俺に視線を送る。

…甥?…俺かっ。

レラの視線も俺に注がれる。初対面の人間を見たような少しキョトンとした面持ちだ。

「始めまして、研究員の光本です。」

レラは軽く頭を下げる。

「は、始めまして。綾っていいます。」

…こうでいいんですよね、先生。

俺も頭を軽く下げながら視線で先生を盗み見る。
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