神々と世界の狭間で
レラの中では自分はレイラではない。愛羅なんだ。

同じ肉体を持っているレラと愛羅。

記憶、自我も愛羅と同じになったレラはレラといえるのだろうか。

俺はさっき自分の口からは飛び出した言葉が何の意味もないことに、ようやく気が付いた。

…クローンである存在だということ。

…人から複製された存在だということ。

それは俺が考えていたよりも重要なこと、人のあり方を決めてしまうことだった。

人には生きるべき道までその体に、遺伝子に刻み込まれているのだろうか。

人はそれを運命と呼ぶのだろうか。

人は運命に逆らえない。人は定められた運命を生きるしかない。

神によって敷かれたレールの上を歩いて行くしかないのか。

…そんなこと、信じたくない。
< 65 / 121 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop