神々と世界の狭間で
「先生、今、ここにいたのが愛羅だとしても、今まで俺達と生活してきたレラは。
レラはレラなんですよね?」

自分でも分かる、声が震えている。

自分の頬を小さな水滴がつたっていくのが分かる。

「それは、わからん。」

先生はすまなそうに項垂れる。

「可能性としてはありえる。レイラはレイラとして生きていたこともあったかもしれん。」

「しかし、あの時にはレイラという自我が存在したのか、それともすでに愛君の記憶の中で生きていたのか。確かなことはわからん。」

先生の言葉の後半は聞こえていなかった。

ただ一つのことが心を照らした。

レラという唯一無二の存在が存在していた可能性がある。

そんな、あやふやな可能性だけが俺の涙を止めることができた。

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