神々と世界の狭間で
あれ?何も見えない…。

小窓にはまっているガラスは黒く塗り潰されていて中を見ることが出来ない。

車の窓ガラスに貼ってあるスモークのようなものだろうか…。

「今は何も入ってないのよ。ごめんね。」

後ろからアイラの優しげな声が聞こえる。

「そうなんですか。」

少し残念そうに言ってみる。正直、細胞とか培養とかには興味がないけど…。

「何も入ってないなら、この扉開けてみてもいいですか?」

俺は機械についた小さなノブを持ちながらアイラの顔を見た。

「駄目っ」

そう俺の耳にアイラの声が届くのと同時に俺の手が機械のノブから払い除けられる。

アイラの目には俺のキョトンとした顔が写っているだろう。

アイラの行動はそれほど唐突だった。

そして俺を見つめているアイラの表情は不安と焦りがありありと見てとれた。

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