神々と世界の狭間で
…言わないでって俺には胎児なんか見えていない。

立ち上がりながらアイラの行動をじっと見つめる。

アイラはモニターの前に行くと愛しい者にするように軽く手を触れた。

モニター上の何もない空間に…。

アイラには見えているのだろう。

今はそこに存在しない胎児が、昔のレラが…。

…どうすればいい?

…俺は…どうすればこのアイラを、レラを救うことができる。

そういえば先生は言っていた。レラはアイラの過去を生きていると…。

となれば今、この場にいる俺はどうなんだ?

俺はアイラの過去にはいない存在。アイラの過去を変える可能性。

それが俺か。だから先生は俺をアイラに会わせたのか。

もしかしたら、レラがアイラの過去から外れたら。

アイラの記憶から解放されたら…。

レラは…戻って来るかもしれない。
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