神々と世界の狭間で
今、ここでアイラの存在を変えてしまうだけの影響を与えられること…。

アレしかない…。

俺は静かに立ち上がり視線をモニターから移した。

俺の視界に入っているもの…。

レラが生まれた機械だ。

ドクン、ドクンと自分の心臓が暴れているのが分かる。

俺がこれからやろうとしている事を考えれば当然か…。

ゆっくりと振り向き、歩を進める。

「何してるのっ?」

アイラの悲痛にも似た声がする。

けど、ソレを気にしてはいられない。

俺がやることは一つ。今、アイラの目に見えているクローンの胎児を殺す。

俺は棺ほどの大きさの機械に手を掛けた。

…ひんやりとして、無機質だ。生命などという感覚は伝わってこない。

背後ではアイラが何かを叫んでいたが、俺の頭には届かない。

俺は静かに機械のドアを開けた。

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