神々と世界の狭間で
「最初聞いた時、ビックリしちゃった。」

「うん。」と俺は頷いた。正確には頷くことしかできなかった。

「そこでね。小学校高学年くらいの子から訊かれたんだ。」

レラは目線を落として言った。

「お姉ちゃん。神様っているの?って…。」

「私達に神様はいるの?…って…。」

…「私達に」その言葉が辛かった。レラはもっと辛いのだろう。

「私、なんて言ってあげればいいか分かんなかった…。」

レラはそう言って一筋の涙を流した。

…考えもしなかった。

普通に産まれた人間には当たり前にあるはずの親も、自分という存在も、神さえも…クローンによって産まれた者には当たり前では無いんだ。
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