神々と世界の狭間で
8 最後の日々
あれから私は前の私とは変わった。
今の私は二つの記憶を持っている。
今まで生きてきたレイラとしての記憶と、自ら命を断ったアイラとしての記憶…。
でも、別人の記憶を持っていても私は私だ。
そう、思える。
夢で見た景色、それはアイラの記憶だった。
今ならアイラの隣にいた人が誰なのかも判る。
二人は今の私と綾みたいな関係。
着かず離れずの幼なじみ。
アイラはその人に思いを告げることは無かった。
その人が病で亡くなったから。
アイラが研究所でやっていたこと、人工臓器の研究。
それがあれば彼は死ななかったかもしれない。
彼女は……。
一つの命を生み出し、彼の元に行った。