もう1人のボク
ところが悲鳴が間近で聞こえた。

振り返ると、ウエイトレスは僕達のすぐ側まで来ていた。

「なっ!」

僕と彼の間を、包丁が切り裂いた。

ギリギリで手を離したから良かったものの、繋いだままだったら、どちらかの手が傷付いていた。

「くっ…!」

このままじゃ逃げ切れない!

僕は思いきって、ウエイトレスに飛び掛った。

包丁を持つ手首を押さえながら、床に倒れ込んだ。

倒れても、笑みを崩さない。

コレは3年前、ボクが起こした事件の加害者と同じ…!

「眼をっ…覚まして! キミは操られているんだよ!」

大声で間近で叫ぶと、びくんっと体が動いた。
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