もう1人のボク
「頭の回転も良いし、運動神経も抜群。何かピンチが起こったって、すぐに切り抜けられる。学生達のカリスマ的存在だったんだ」

そして遊間は熱のこもった眼で、僕を見た。

「陽日、知っているよね?」

「何…を?」

「あの人のこと。―ツキヤのことだよ」

ズキッ!

心臓が悲鳴をあげた。

やっぱり、遊間は月夜のっ…!

「ねぇ、彼はどこ?」

遊間はいきなり僕の両肩を掴んできた。

「3年も調べたんだ。そしたらキミが月夜ともっとも近しい人物だってことが分かったんだ」

「じゃあ…あの事件は…」

「うん、僕が起こしたことだよ。彼と、会う為にね」

あっさりと認めた遊間。

僕は目の前が真っ暗になる。

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