もう1人のボク
「今日はどうしたんですか?」

心境を隠し、僕は笑顔で2人にコーヒーを差し出した。

「ああ、ちょっとな」

門馬さんが希更さんに視線を向ける。

希更さんはコーヒーを一口飲んだ後、真剣な表情で僕を見つめた。

「ねぇ、ハルくん。最近、月夜クンが動いたことは無かった?」

ぞわっ!

全身に鳥肌が立った。

月夜(つきや)はアイツの名前だ。

もう1人のボクの…。

「…いえ、最近は大人しく中にいますよ」

震える声でそう言うと、二人は顔を見合わせた。

「実は最近、ちょっとおかしな事件が起きててね。こう言うのも心苦しいんだが…月夜くんが関係しているんじゃないかと思ってね」

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