St. Valentine's Dayの奇跡


でも……

あいつが逃げ去ったのは、あたしに腕をねじ上げられたからだけじゃない筈。


だって、忍はあたしも見上げる程の大男。

確かこないだ、185センチとか言ってたよな。

顔も厳ついし、普通の男からみても、睨まれたら逃げたくなる巨漢だ。


「なんだ、シノブの知り合い?」


忍の後ろから、同じ制服姿の男子が数人顔を出した。


「嗚呼、小学校ん時からのダチ」

「ふぅん、二人とも可愛いじゃん」

「お前ら、どこ目付いてんだぁ~

飯島はまだしも、こいつが可愛い?」

「背高いし、スタイルいいし、めちゃ綺麗じゃん。

モデルみたい。

ね、君、何て名前?」

「こら、ナギサ、答えるんじゃない!

こいつは女タラシだ」

「あっ、ナギサちゃんていうんだぁ~

よろしく、僕、アツシ、シノブとタメ。

ポジションはミッドフィルダー」



あ、こいつもサッカー馬鹿だ。
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