St. Valentine's Dayの奇跡
あたしは、その光に誘われるように中へ足を踏み入れた。
木のベンチの間に作られた、祭壇へ続く通路を真っ直ぐに進む。
(あの光がみたい……)
あたしの中は、その気持ちで一杯だった。
祭壇の前まで進み出て、今来た通路を振り返る。
吹き抜けの丁度二階部分に大きく羽目込まれた、8枚のガラス窓。
その一つ一つに、人を形どった絵柄が、色取り取りのガラスで描かれていた。
『Paul,Lukas,Matthew,Saint Mary,Saint Clous,Saint Valentine……』
あたしは、その人物の下に金で描かれた名前の文字を読み上げていった。