St. Valentine's Dayの奇跡
「奇跡は起こりますよ」
後ろから響いた声に、ギョッとして振り向くと、祭壇の側に一人の男性が立っていた。
「す、すいません。勝手に入って……」
あたしは、頭を大きく下げて謝った。
「いいんですよ。
教会の扉は、迷える子羊のために、常に開かれているものなのです。
それより、随分のあのステンドグラスがお気に召したようですね」
「だって、あれ、サンタとバレンタインですよね?
何だか、ちょっと可笑しくて……」
「この教会を建てる時、ステンドグラスに描く図柄を決める投票があったと聞いています。
勿論信者全員ですから、女性も男性も、子供も全員で。
で、その中にサンタとバレンタインがいたという訳です。
まぁ、人気投票みたいなものですから。
それに、私自身も、あの二人の図柄は特に気に入っています。
どんな聖人よりも、人々に広く知られ、愛されている二人ですからね。
私も常ね二人にあやかりたいと願っている次第です」