St. Valentine's Dayの奇跡

「それに、あの二人を見ると、誰でもちょっと笑いたくなりませんか?

さっきのあなたみたいに」

「確かに……」

「あの二人は、そういう意味でも、奇跡を起こす力を持っています。

全ての人に幸せを運ぶという奇跡をね」


「幸せを運ぶ奇跡……」


「さて、あなたの願いはなんでしょうか?」


「えっ?」


「あなたは何の奇跡を願ったのですか?」


「えっっと……」


あたしが返事に窮して戸惑っていると、

「願いは口に出さなければ叶いませんよ。

それが祈りというものです。

私は神父です。

そして、それを聴くのが私の役目。

勿論、秘密は守ります。

これは、私とあなた、いえ、神とあなたの間に交わされる約束なのです」


神父様はそう言うと、輝くばかりの笑顔であたしに微笑みかけた。

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