St. Valentine's Dayの奇跡
「ね、そのお酒、あたしのチョコにも混ぜちゃ駄目?」
舞が羨ましそうにあたしを見る。
「いいけど、口に出して願いごとを祈らないといけないんだよ」
「わかってるって」
舞がちょっぴり頬を赤らめて、真剣な顔であたしに向き直った。
「はぁ?」
「いい、いくよ……
『あたしと雄一が将来結婚できますように!』」
舞は両手を組み合わせ、目を閉じて祈りを口にした。
「って、きゃぁ~
言っちゃったぁ~」
「あなたの願いは、聞き届けられました」
あたしは自分の手を舞の頭の上に載せ、神父様を真似てそう言った。
目を開けてあたしを見上げる舞の目は、喜びに輝いていた。
気持ちを口にするって、興奮するものなんだって、今更ながら気が付いた。
舞の願い、叶うといいな……