St. Valentine's Dayの奇跡



「そろそろいい感じに溶けたんじゃない?」


ボールの中でトロリと溶けたチョコを確認すると、舞の瞳が輝いた。


「そうだね、ホラ、ナギサ、例のもの」


あたしは、エプロンのポケットから、例の小瓶を取り出した。


「一滴ずつだよ」


あたしはそう呟きながら、小瓶を慎重に傾けた。


『ポトッ』

そしてまた、

『ポトッ』

温められたチョコの上で、

ブランデーの芳香が匂い立つ。



(願いが叶いますように……)



あたしは、心の中で祈りを唱えた。
< 36 / 67 >

この作品をシェア

pagetop