St. Valentine's Dayの奇跡


「ナギサ、何にやけてんのさぁ」

「だって、気にしてくれてるだよね、あたしの本命」


「まぁね、そうみたい。

『あいつに直接聞けるなら、こんな悩まねぇよ』

って、結構落ち込んでたみたいだよ、シノブ。

あたしの勘じゃ、ナギサ、案外脈ありじゃない?」


「そ、そっかな。

でも、単に知りたいだけかもよ」

「ないない、それはない。

だいたい、シノブって、誰と誰がくっついたとか、そういう話に疎いじゃない。

昔っから、女には興味ありませ~んて顔して、サッカー馬鹿だもん」


そうだよね、だからあたしも安心して見てられたんだ、忍のこと。


夕暮れのグランド、ただひたすらにボールを追いかける忍の姿。


目に焼きついた、あたしの大切な思い出。
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