St. Valentine's Dayの奇跡
ケーキも上手く焼きあがり、あたし達は明日に向けて愛のラッピングに取りかかる。
舞は『I love you』を切り抜いた紙をケーキの上に載せ、上から粉砂糖を降りかける。
「わぁ、これ、すごくいい感じ。
『愛詰まってます』って感じだよぉ」
あたしは、細く切ったチョコバーを赤い油紙で包んで、『Love』と書かれたシールで留めた。
「ナギサのこれも、いい感じ。
『燃えるような愛』って感じ」
二人で愛の作品を褒めあって、お互い明日の健闘を祈って別れた。
舞は、明日、朝からデートの予定なんだって。
勿論あたしは、そんな予定がある筈もない。
でも、明日の14日は日曜だし、シノブもさすがに家にいるだろう。
まさか、14日に試合とか練習とか?
ないない。
シノブはいざ知らず、他の男子もいる訳だし……ね。