St. Valentine's Dayの奇跡
キセキ
その日の夜、忍の部屋の明かりは11時には消えた。
朝はジョギングだな。
と、一人検討をつける。
(チョコ渡すなら朝かな……)
タイミングはかって一日中ウジウジするのは性に合わない。
台所に下りて、冷蔵庫のチョコを確認する。
と、居間でテレビを観ていた母さんに声をかけられた。
「渚、あんた明日の予定は?」
「えっ、特に、家にいるよ」
「今年も忍くんにチョコ渡すんでしょ。
どっか、デートとか行かないの?」
「何言ってんのさ、あいつにそんな器用なことできる訳ないじゃん!」
どうやら、あたしの毎年の行動は母さんにはお見通しだったようだ。
「あんたも苦労するわねぇ」
苦労以前の問題です。
「ああいうスポーツ馬鹿は、押しの一手よ。
鈍感なんだから」
「なによ、わかったようなこと言わないでよ」
「わかるわよ、父さんもスポーツ馬鹿だったから……」
そ、そうなんですか……