St. Valentine's Dayの奇跡



教会を見上げて、扉に手をかけた。

キィ……



小さく軋んで扉が開いた。


「ほんとだ、鍵かかってないんだね」


舞が感心したように呟いた。

あたし達二人は、キラキラと色取り取りの光に包まれた、その箱の中へと吸い込まれていく。

祭壇の前で立ち止まって、振り向いた。


「あれ、あれ」


あたしは、ステンドグラスを見渡して、その奥の二つを指差した。


「ほんとだ、サンタとバレンタイン」

「ね」


でも、今日は何も起こらない。
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