St. Valentine's Dayの奇跡
「これはこれは、可愛い訪問者ですね」
扉から出てきたのは、黒服を身に纏った紳士。
「あの、勝手にお邪魔しています!」
あたしと舞は、大きく頭を下げ、挨拶をした。
「いいんですよ。迷える子羊の為、教会の扉はいつも開かれているのです」
「あの、もしかして神父様ですか?」
「いかにも。わたしが、この城山教会の神父、城田です」
「えっ?」
「何か問題でも?」
「いえ、あの……
あたし、二週間前にここに来た時、もう一人の神父様にお会いしました」
「もう一人の?
それはおかしいですね。
この教会の神父はわたし一人ですが……」