St. Valentine's Dayの奇跡
>あれは夢か幻か
あたしは、目の前に立つ城田神父をもう一度ゆっくりと見た。
歳の頃は五十前後、髪は黒くやや薄い。
きっちりとカラーの付いた黒い神父服を着た、中肉中背の紳士。
あたしと舞を優しい眼差しで見つめながら、彼は少しハスキーな低い声で疑問を口にした。
「その方はどんな神父でしたか?
風貌とか服装とか?」
「えっと……
背はもう少し高くて、三十前後、髪は肩くらいまであって縮れてました」
「で、服装は?」
「う~ん、はっきりとは覚えてないんですけど、もうちょっと白っぽかったような……
そう、ほら、例えばあんな感じ……」
と、あたしが指し示したのは、キラキラと輝くステンドグラスに映える聖人達。
そう、ちょっとあんな感じ。
「カズラですね」
城田神父は一言呟いた。