天国のポスト
「もう……8月だね」








「……」








「……私たちの式、来週なんだよ」









「………」








「ホントなら今ごろウキウキして、新婚旅行で行くところとか、新しい家の家具選びとかで忙しいはずだったのにね」






数か月前、いつでも目に涙が浮かんでいたのに、枯れてしまったかのように一滴も流れてこなかった。

でも、表情だけはまだ…悲しみが抜けない。


こうやって武浩に会いにきても、また寂しさが大きくなる。



――薬の副作用のように……



初めは効き目があって使うけど、




あとで何倍にもなって苦しみが襲ってくる








武浩に会えない悲しみが……




絶対にもう会うことができない悲しみが――――
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